なんとなく"スロースタイル神戸”発進す 2003年7月号

ボクは気軽で形式ばっていないファストフードが結構好きです。会社勤めの頃、仕事が忙しいとハンバーガーショップで三食を済ますことさえし、さすがに店員さんに「あんまり身体に良くないですよ」と心配してもらったほどでした。
 最近嬉しいことに、時間の節約だけでなく、ハンバーガーの値段が下がり食費の節約まで出来てしまうようになってしまいました。 ところが逆にボク自身のハンバーガーの利用頻度は少なくなってしまったのです。味が落ちた、とかそんなことは最初から望んでいませんから違います。ただ居心地が良くなくなったのが敬遠するようになった理由です。レジが長蛇の列だったり、席がいっぱいだったり。残念なのはコーヒーのお替わりが廃止されていたり、禁煙席がなくなってたり.... 
 価格を下げても同じ利益を確保するためには売上を増やしてコストを下げることが必要なのでしょう。これまでの価格で確保してきた利益を保つためにはより多くのハンバーガー(個数)を売らなければなりません。となるとより多くのお客さんを処理しなければなりませんから、そのためには充填効率の悪くなる禁煙席も廃止する方法を選択したのでしょうか?
 しかしボクの側としては時間が無いからファストフードなのであってそこで長蛇の列では意味が有りませんし、逆に気軽にゆっくりしたいと思っていてもそんな雰囲気では無くなってしまっているのです。ボクが求めてたのは安い食事ではなくタダでいただける気持の良いサービスだったのです。より利益を求める企業は数、すなわちスピードを求めざるを得なくなり、結果としてサービスや満足を少し失ってしまったのでしょうか。

"のんびり+じっくり”がキーワード
 さて食事だけに限らず最近いろいろなことがなにやらせわしく感じるのです。スピードを要求しすぎるのでしょうか?と思っていたら、なんでもかんでも速い方が良いわけでないやろう、と「スローフード」「スローライフ」という考えが世間の一部で興ってきているようです。まあのんびりいきましょうよ、という反スピード生活論です。それで、あ、コレってオキドキ的かも!?と早速クラブの名前に採用してしまいました。
 誰かが「クラブを作ろう」といったわけではありませんが、店に集まる走り仲間が自然派生的に増えていき、月例ツーリングや練習会、あるいはローカルレースに参加するようになって自然と「クラブ」のような形になってきました。それでもまだちゃんとしたクラブではないのですがレースにでる時の名前をどうする?ということになって名前を「スロースタイル神戸」(*)に統一することになんとなく決めました。
 この「なんとなく」、というところがミソで何の強制も取り決めもありません。今のところ誰が正式なメンバーで誰がリーダーでということも何にも無い状態で活動をしています。いずれは最小限の取り決めをつくらなければならないかな、とは思っていますができればこのまま自由意志による自由な雰囲気の仲間のままでありたいと思っています。何より個人の最も「わがまま」である「趣味」を目的とした集まりなのですから社会生活のような「右へ倣(なら)え」的な決まりごとは極力避けたいのです。
 このクラブは「オキドキな〜」に共通する、のんびり+じっくりがキーワードです。例えば同じ山道を走るにもレースのようなスピードでは折角の楽しいコースや景色を短時間しか楽しんでいないことになります。同じ距離ならのんびり走ったほうが長い時間楽しめることになると思いませんか?一方、スピードを楽しむコース、走り抜ければ一瞬で終わりのところをスロースタイルでは何度も引き返して走ることも… そんなことしてたら前に進めないよー いえいえのんびり楽しみましょう、と。
 競技に出るときだって同じようなことがいえます。さすがにこちらは走ったスピードがナンボの世界、それでも気持ち的には「スロースタイル」です。手を抜いてゆっくり走るわけではありませんが、レース前に口も聞けないほどカリカリした雰囲気ではなく、もっとゆったりとした気持で臨み、結果として成績が良かったらいいかな、ぐらいの。同じスピードでも強い人ほど余裕がある、というのがスロースタイル的には理想です。練習する目的もその成績より「いっぱいいっぱいで走る」のでは無く余裕で気持ちよく走りたいから.... 
 スピード、速さには魅力がありますが、前述のファストフードの例のようにそのスピード追求によって失われるものがあるとしたらチョット考えなければなりません。幸い自転車の場合、スピードだけがその楽しみではありません。自転車を中心とした生活はむしろ個人個人に合ったスタイルが自由に選択できるものだと思います。世の中の何もかもが加速しながら進もうとしている今の生活ですから、せめて趣味ぐらいは流れに逆らってもいいからオキドキな「スロースタイル」を楽しく実践してみようと思うのです。どうやらそう考えているのはボクだけでは無いようで店に集まるスロースタイルな仲間は日に日に増殖しています。

*スロースタイル神戸では(上述のように)特にクラブメンバーを募集しているわけではありませんが、同様な考えを持つ方のイベントへの参加は大歓迎です。詳しくは http://picnic.jp/%7Eo-riders/

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